G: 理論科学
laser
Dirac system
Floquet Weyl
semimetal
研究室
理学系
物理学専攻
非平衡多体理論(量子、情報、生命 など)
当研究室は複雑な物理現象の背後にひそむ「からくり」の発見と理解、そしてそれを利用し
た「機能発現」の提唱を研究目標とします。これまで量子物質のフロッケ・エンジニアリン
グの提唱や、非平衡場の理論など、主に非平衡量子多体系研究に注力してきました。こ
らに加え、今後の重点領域として、生命現象のミクロ・メソスコピックな理論や情報物理
場の理論の応用を考えています。特に学生の自由な発想に基づいて研究分野を拡げていき
たいです。学際的な研究と、国内外の共同研究者との交流とい、ダイナミックな研究の場
を提供していきたいです。(今年度が現所属で最初の学生募集となります。)
教授 岡 隆史
研究室見学も歓迎です
Tel: 04-7136-3285
E-mail: oka@issp.u-tokyo.ac.jp
場所: 物性研AA429
構成:
隆史 (教授)
奥村 駿 (特任助教)
沼澤宙朗 (特任助教)
事務補佐員 2
生命現象のメソスコピック物理
量子物質制御(フロッケ・エンジニアリング)
レーザー電場に代表される外場による駆動に
よって物質の性質は劇的に変化します。非平衡多
体問題は一般にはとても複雑な現象なのですが、
外場の時間周期性に着目することで系統的な研究
が可能になりました(フロッケ理論)。
現在、量子物質の性質を非平衡外場で制御す
る「フロッケ・エンジニアリング」とい新分野
が国内外の多くの研究室で精力的に研究を進めら
れています。その研究対象はトポロジカル物質や、
量子スピン系に代表される物性物理分野のものの
みならず、冷却原子系や光学系などの人工物質群、
QED, QCD真空などの高エネルギー物理にまで
及んでいます。当研究室では特にフロッケ・トポ
ロジカル状態の提唱などを通じてこの分野の研究
に貢献してきました(Oka-Aoki2009)様々な
物質の性質を自在に制御する新しい方法の発見を
目指していきます。
キーワード:量子制御、トポロジカル状態
多体問題としての生命現象
生体反応の根幹には細胞の内外でおきる化学
反応の連鎖(シグナル伝達)があります。こ
のよな過程を動的多体問題として捉え直し、
その性質を実験・理論の協力の下で解き明か
す研究が始まっております。特に非エルミー
トな場の理論を用いて、主に電子物性で発展
されたフロッケ・エンジニアリングなどの量
子制御の手法を生体制御に導入する研究に着
手しております。物性研内でも研究されてお
ります視神経細胞やオプトジェネティクス技
術を利用を利用した実験研究と協力しながら
新分野の発展に貢献したいです。
キーワード:生命現象、シグナル伝達、ネッ
トワーク、制御、相互情報量
虚時間(非エルミート物理)
実時間 (エルミート物理+開放系)
量子物質の非平衡制御 多体物理基礎論(場の理論)
特任助教
奥村 駿
Schwinger-Keldysh 経路
光刺激
受容体(
m
4
m
3
m
2
m
m
5
m
6
m
N-2
m
N-1
m
N
...
物質の
連鎖反応ネ
細胞
非平衡統計力学の新展開
現在、非平衡開放系に関連した統計力学
基礎論は急速な発展をとげつつあります。
そこでは物性的手法、数値手法、数理的手
法などが混ざり合いながら、新しい物理学
の芽が多く生まれております。
先を見通すことは難しいですが、例えば、
この宙の初期に何が起きたのか、といっ
た難問に、物性実験の知見を元に理論的に
アプローチすることも可能になると思われ
ます。
キーワード:非平衡定常状態、非平衡繰り
込み群、量子情報、エンタングルメント
重力におけるレプリカ法と
レプリカをつなぐワームホール
特任助教
沼澤宙朗
強相関電子系では、電子のもつ電荷・スピン・
軌道といった複数の自由度の協奏によって磁性
や超伝導などの多彩な物性現象があらわれます。
さらに、近年ではトポロジーとい幾何学的な
概念を取り入れた新たな切り口による研究が多
くなされています。私は、こた系を取り扱
ために大規模な数値計算と場の理論的な解析
計算を組み合わせた理論研究を行っています。
トポロジカル磁性体が示す量子輸送現象
トポロジカルな磁気構造は、創発磁場を生み出すことで特異な
ホール応答を示すことが知られています。私は、3次元的なトポ
ロジカル磁性の一つである磁気ヘッジホッグ格子の安定性と量子
輸送現象に関する研究を行ってきました (Okumura2020)
トポロジカル電子状態の光誘起物性
トポロジカルな電子状態として注目を集めているワイル半金属や
ディラック半金属ですが、実際の物質中でどのよに振る舞
は未解明な問題のひとつです。私は、光学応答を調べることに
よってトポロジカル電子状態の制御可能性を探っています。
強相関電子系におけるトポロジカル物性
出身は高エネルギー理論で、これまで
は主にブラックホールや初期宙にお
ける重力の量子効果を理解するために,
高エネルギー理論、非平衡物理及び量
子情報理論の境界領域を研究してきま
した。特に量子エンタングルメント
量子系の特徴的な性質で、高エネル
ギー理論でも量子多体系でも近年重要
になったことから興味を持って研究し
てきました。
今後は、高エネルギー理論と量子多
体系において量子情報や非平衡物理の
より発展的な知識を応用していくとと
もに、その逆の応用や、量子情報や非
平衡物理自身の基礎的な研究もしてい
きたいと考えております。